○朝倉市政治倫理条例

平成18年3月20日

条例第8号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その担い手たる市長、副市長、教育長、農業委員(以下「市長等」という。)及び市議会議員(以下「議員」という。)が市民全体の奉仕者として、その人格と倫理の向上に努め、いやしくも自己の地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応え、併せて市民も、市政に対する正しい認識と自覚を持ち、公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(市長等、議員及び市民の責務)

第2条 市長等及び議員は、市民全体の代表者として、市政に携わる権能と責務を深く自覚し、地方自治の本旨に従って、その使命の達成に努めなければならない。

2 市民は、自らも市政を担い公共の利益を実現する責任を有することを自覚し、自己の利益を図る目的をもって、市長等及び議員に対し、その地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。

(政治倫理基準)

第3条 市長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 政治活動に関して、企業、団体等から寄附等を受けないものとし、その後援団体についても、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないこと。

(2) 市が行う許可、認可、命令又は請負その他の契約に関し、特定の企業及び団体等のために有利な取り計らいをせず、又は有利な取り計らいをするよう働きかけないこと。

(3) 職員採用に関して、推薦及び紹介をしないこと。

(4) 常に市民全体の奉仕者として行動するものとし、その地位を利用し、いかなる金品も授受しないこと。

(5) 市民全体の代表者としてその品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(6) 市が補助金(委託料を含む。)を交付している団体における地位を利用し、政治的又は道義的批判を受けるような行為をしないこと。

2 市長等及び議員は、政治倫理基準に反する行為として政治的又は道義的批判を受けたときは、誠実に疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにするよう努めなければならない。

(誓約書の提出義務)

第4条 市長等及び議員は、その職に就任後速やかに市長等にあっては市長に、議員にあっては市議会議長(以下「議長」という。)この条例を遵守する旨の誓約書を提出しなければならない。

(資産等報告書の作成)

第5条 市長は、その任期開始の日(再選挙により市長となった者にあってはその選挙の期日とし、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第259条の2の規定の適用がある者にあっては当該者の退職の申立てがあったことにより告示された選挙の期日とし、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた市長にあってはその当選の効力発生の日とする。)において有する次の各号に掲げる資産等について、当該資産等の区分に応じ当該各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、同日から起算して100日を経過する日までに作成しなければならない。なお、作成するに当たっては、必要な証拠書類等を添付しなければならない。

(1) 土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。) 所在、面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨

(2) 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積並びに相続により取得した場合は、その旨

(3) 建物 所在、床面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続により取得した場合は、その旨

(4) 預金(当座預金及び普通預金を除く。)及び貯金(当座貯金及び普通貯金を除く。) 預金及び貯金の額

(5) 有価証券(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項及び第2項に規定する有価証券に限る。) 種類及び種類ごとの額面金額の総額(株券(株券が発行されていない場合にあっては、株券が発行されていたとすれば当該株券に表示されるべき権利を含む。)にあっては、株式の銘柄及び株数)

(6) 自動車、船舶、航空機及び美術工芸品(取得価額が100万円を超えるものに限る。) 種類及び数量

(7) ゴルフ場の利用に関する権利(譲渡することができるものに限る。) ゴルフ場の名称

(8) 貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付金の額

(9) 借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入金の額

2 市長は、毎年12月31日において有する前項各号に掲げる資産等について、当該資産等の区分に応じ同項各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、その翌年の6月1日から同月30日までの間に作成しなければならない。なお、作成するに当たっては、必要な証拠書類等を添付しなければならない。

(所得等報告書の作成)

第6条 市長(前年1年間を通じて市長であった者(任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、当該市長でない期間を除き前年1年間を通じて市長であった者)に限る。)は、次に掲げる金額及び課税価格を記載した所得等報告書を、毎年6月1日から同月30日までの間(当該期間内に任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、6月1日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に作成しなければならない。なお、作成するに当たっては、必要な証拠書類等を添付しなければならない。

(1) 前年分の所得について同年分の所得税が課される場合における当該所得に係る次に掲げる金額(当該金額が100万円を超える場合にあっては、当該金額及びその基因となった事実)

 総所得金額(所得税法(昭和40年法律第33号)第22条第2項に規定する総所得金額をいう。)及び山林所得金額(同条第3項に規定する山林所得金額をいう。)に係る各種所得の金額(同法第2条第1項第22号に規定する各種所得の金額をいう。)

 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)の規定により、所得税法第22条の規定にかかわらず、他の所得と区分して計算された所得の金額であって規則で定めるもの

(2) 前年中において贈与により取得した財産について同年分の贈与税が課される場合における当該財産に係る贈与税の課税価格(相続税法(昭和25年法律第73号)第21条の2に規定する贈与税の課税価格をいう。)

(関連会社等報告書の作成)

第7条 市長は、毎年、4月1日において報酬を得て会社その他の法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下この条において同じ。)の役員、顧問その他の職に就いている場合には、当該会社その他の法人の名称及び所在地並びに当該職名を記載した関連会社等報告書を、6月1日から同月30日までの間(当該期間内に任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、6月1日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に作成しなければならない。なお、作成するに当たっては、必要な証拠書類等を添付しなければならない。

(税等の納付状況報告書の提出)

第8条 市長等及び議員は、次に掲げる税等の納付状況を記載した税等の納付状況報告書に証拠書類等を添付して、毎年6月1日から同月30日までの間に、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。

(1) 所得税及び事業税の前年分の納付状況

(2) 住民税、固定資産税、国民健康保険税及び軽自動車税の前年度分の納付状況

(3) 普通地方公共団体に関する使用料等の前年度分の納付状況

2 議長は、前項の規定により提出された議員に係る税等の納付状況報告書の写しを市長に送付しなければならない。

(報告書の保存)

第9条 第5条から前条までの規定により作成又は提出された資産等報告書、所得等報告書、関連会社等報告書及び税等の納付状況報告書(以下「報告書」という。)は、市長及び議長において、これらを作成又は提出すべき期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。

(政治倫理審査会の設置)

第10条 報告書の審査及び政治倫理に関する重要な事項を調査審議するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、朝倉市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会の委員は、6人以内とし、報告書の審査に関して専門的知識を有する者及び地方自治法第18条に定める選挙権を有する市民(以下「有権者」という。)のうちから、市長が委嘱する。

3 審査会の委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、委員定数の3分の2以上の者の同意を必要とする。

5 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後もまた同様とする。

6 審査会の委員は、その職務を政治的目的のために利用してはならない。

7 審査会の委員は、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。

(報告書の審査)

第11条 市長は、第5条から第8条までの規定により作成又は提出された報告書又は報告書の写しを、毎年7月31日までに審査会に提出し、審査を求めなければならない。

2 審査会は、報告書に疑義があるときは、市長等及び議員からの事情聴取等必要な調査を行うことができる。

3 審査会は、第1項の規定により審査を求められたときは、審査を求められた日から起算して90日以内に意見書を作成し、市長に提出しなければならない。

(報告書及び意見書の閲覧)

第12条 市長は、報告書(第8条第2項の規定により送付された税等の納付状況報告書の写しを含む。)及び前条第3項の規定により提出された意見書を、意見書が提出された日から起算して15日以内に市民の閲覧に供しなければならない。

2 前項の規定による閲覧の期間は、閲覧開始の日から5年間とする。

(調査請求権)

第13条 市民は、市長等又は議員が第3条第1項に規定する政治倫理基準に違反する疑いがあると認められるとき、又は第5条から第8条までの規定により作成又は提出された報告書について疑義があるときは、有権者の100分の1以上の連署をもって、その代表者(以下この条において「調査請求者」という。)から当該疑義を説明する資料を添えて、市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長に、調査を請求することができる。

2 議長は、前項の規定により議員に対する調査の請求を受けたときは、その書面の写しを市長に送付するものとする。

3 市長は、第1項の規定により調査の請求を受けたとき、又は前項の規定により送付を受けたときは、直ちに審査会に審査を求めなければならない。

4 審査会は、前項の審査を行うため、市長等又は議員若しくは必要な範囲内で第三者に対し、事情聴取等必要な調査を行うことができる。

5 審査会は、第3項の規定により審査を求められたときは、その日から起算して60日以内にその審査結果を市長及び調査請求者に文書で回答しなければならない。

(必要な報告書の提出)

第14条 審査会は、前条の規定による審査をする場合において、市長等(市長を除く。)及び議員についての事案の解明のため必要があるときは、第5条から第7条までに規定する報告書のうち、審査会において必要と認める内容の報告書の提出を求めることができる。

2 前項の規定により提出された報告書は、提出を受けた日から5年間保存するものとする。

(市長等又は議員の協力義務)

第15条 市長等又は議員は、審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。

(虚偽報告等の公表)

第16条 審査会は、市長等又は議員が報告書若しくは必要な資料の提出をしないとき、虚偽の報告をしたとき、又は調査に協力しなかったときは、その旨を公表するものとする。

(刑法事犯宣告後における釈明)

第17条 市長等又は議員が、刑法事犯により有罪判決の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、市長等については市長に、議員については議長に、市民に対する説明会の開催を求め、当該市長等又は議員は説明会に出席し釈明しなければならない。

2 市民は、前項の規定による説明会が開催されないときは、有権者の50人以上の連署をもって、その代表者から当該市長等又は議員に説明会の開催を請求することができる。

3 前項の開催請求は、有罪判決宣告の日から30日を経過した日以後20日以内に、市長等に係るものについては市長を、議員に係るものについては議長を通じて行うものとする。

4 市民は、説明会において当該市長等又は議員に質問することができる。

(刑法事犯確定後の措置)

第18条 市長等又は議員が、刑法事犯により有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法第11条第1項及びその他の法律の規定により失職する場合を除き、市長又は議長は市政の名誉と品位を守り市民の信頼を回復するため、必要な措置をとるものとする。

(市工事等の契約に対する遵守事項)

第19条 市長等(農業委員は除く。以下次項において同じ。)及び議員の配偶者及び同居の親族は、地方自治法第92条の2、第142条、第166条第2項及び第180条の5第6項の規定の趣旨を尊重し、市民に対し疑惑の念を生じさせないよう市工事等の請負契約を辞退しなければならない。

2 前項の規定は、市長等及び議員並びにその配偶者及び同居の親族が行う一般物品納入契約について、これを準用する。

(委任)

第20条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成18年3月20日から施行する。

(平成18年条例第216号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(平成19年条例第6号)

(施行期日)

1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(平成19年条例第18号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 改正後の第5条の規定の適用については、旧郵便貯金(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号)附則第3条第10号に規定する旧郵便貯金をいい、通常郵便貯金を除く。)は、預金とみなす。

(平成20年条例第20号)

この条例は、公布の日から施行する。

朝倉市政治倫理条例

平成18年3月20日 条例第8号

(平成20年6月27日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 市長部局/第1節 事務分掌
沿革情報
平成18年3月20日 条例第8号
平成18年7月20日 条例第216号
平成19年3月23日 条例第6号
平成19年12月28日 条例第18号
平成20年6月27日 条例第20号