○朝倉市歴史的景観条例

平成18年3月20日

条例第111号

目次

第1章 総則

第1節 通則(第1条・第2条)

第2節 市長の責務(第3条―第5条)

第3節 市民、事業者及び専門家の責務(第6条―第8条)

第2章 歴史的景観形成地区(第9条―第15条)

第3章 伝統的建造物群保存地区(第16条―第21条)

第4章 景観保存物件(第22条―第27条)

第5章 補助等(第28条)

第6章 朝倉市歴史的景観審議会(第29条・第30条)

第7章 雑則(第31条)

第8章 罰則(第32条)

附則

第1章 総則

第1節 通則

(目的)

第1条 この条例は、本市の歴史的景観の維持並びに歴史性及び地域性豊かな伝統的建造物群の保存に関して必要な措置を定めることにより、本市にふさわしい景観をまもり、そだて、つくり、もって市民の郷土愛の高揚と地域文化の向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 歴史的景観 歴史的な建造物が数多く存在し、自然その他の環境と一体となって歴史と文化を表現し、形づくっている景観をいう。

(2) 伝統的建造物群 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第2条第1項第6号に規定する伝統的建造物群をいう。

(3) 伝統的建造物群保存地区 文化財保護法第142条に規定する伝統的建造物群保存地区をいう。

(4) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(以下「建築物」という。)及び建築物以外の工作物で規則で定めるものをいう。

(5) 専門家 建築物等の設計又は施工を業として行う者をいう。

(6) 広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。

第2節 市長の責務

(市長の基本的責務)

第3条 市長は、この条例の目的を達成するための基本的かつ総合的な施策を策定し、これを実施しなければならない。

2 市長は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、市民、事業者及び専門家の意見が十分に反映されるよう努めなければならない。

(先導的役割)

第4条 市長は、公共施設、公益施設等の整備改善の推進その他歴史的景観の整備に関する事業を行う場合には、歴史的景観の形成に先導的役割を果たすよう努めなければならない。

(啓発)

第5条 市長は、市民、事業者及び専門家が歴史的景観の形成に寄与することができるよう歴史的景観に関する知識の普及を図る等必要な措置を講じなければならない。

第3節 市民、事業者及び専門家の責務

(市民、事業者及び専門家の基本的責務)

第6条 市民、事業者及び専門家は、歴史的景観に関する知識を高めることにより、それぞれの立場から歴史的景観の形成に寄与するよう努めなければならない。

(協力義務)

第7条 市民、事業者及び専門家は、市長その他の行政機関が実施する歴史的景観の形成に関する施策に協力しなければならない。

2 市民、事業者及び専門家は、歴史的景観の形成に寄与するため相互に協力しなければならない。

(歴史的景観形成への配慮)

第8条 市民、事業者及び専門家は、建築物等の新築、増築、改築、修繕、模様替え又は色彩の変更、土地の形質の変更等を行おうとするときは、歴史的景観の形成に配慮しなければならない。

第2章 歴史的景観形成地区

(歴史的景観形成地区の指定)

第9条 市長は、歴史的景観の形成上必要な地域については、朝倉市歴史的景観審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴いて、歴史的景観形成地区(以下「景観形成地区」という。)に指定することができる。

2 景観形成地区は、次の各号のいずれかに該当する地域について指定するものとする。

(1) 緑地、斜面地若しくは河川又は道路に沿って歴史的景観を形づくっている地域

(2) 伝統的な建築物等が一体をなし、その地域の特色を表して歴史的景観を形づくっている地域

(3) 歴史的景観の形成のために計画的に整備していく必要がある地域

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が歴史的景観の形成のために必要と認める地域

3 市長は、景観形成地区を指定したときは、これを告示しなければならない。

4 前項の規定は、景観形成地区を変更した場合について準用する。

(歴史的景観の形成基準)

第10条 市長は、景観形成地区を指定したときは、歴史的景観の形成のための基準(以下「景観形成基準」という。)を定めるものとする。

2 景観形成基準は、次に掲げる事項のうち必要なものについて定めるものとする。

(1) 建築物等の規模及び敷地内における位置

(2) 建築物等の外観の意匠及び色彩

(3) 建築物の屋上の形態

(4) 広告物及び広告物を掲出する物件の意匠及び表示の方法

(5) 土地の形質

(6) 木竹石の態様

(7) 水面の態様

(8) その他歴史的景観形成のために市長が必要と認める事項

3 市長は、第1項の景観形成基準を定めたときは、これを告示しなければならない。

4 前項の規定は、景観形成基準を変更した場合について準用する。

(行為の届出)

第11条 景観形成地区内において、次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ、その内容を市長に届け出なければならない。

(1) 建築物等の新築、増築、改築、移転又は除却

(2) 建築物等の大規模な修繕、大規模な模様替え又は外観の過半にわたる色彩の変更

(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更、木竹の伐採及び土石類の採取で規則で定めるもの

(4) 前3号に掲げるもののほか、歴史的景観の形成に影響を及ぼすおそれのある行為

2 前項の規定は、非常災害のため必要な応急措置として行う行為、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるものについては適用しない。

(景観形成基準の遵守)

第12条 前条第1項各号のいずれかに該当する行為を行おうとする者は、景観形成基準に適合するよう努めなければならない。

(景観形成基準に基づく助言、指導又は勧告)

第13条 市長は、第11条第1項の規定による届出があった場合において、届出に係る行為が景観形成基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対して、必要な助言、指導又は勧告を行うことができる。

2 市長は、前項の規定により助言、指導又は勧告を行う場合は、審議会の意見を聴くことができる。

(行為の報告等)

第14条 市長は、第11条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出により当該届出を必要とする行為をした者に対し、その行為の内容について報告を求めることができる。

2 市長は、前項の報告をした者に対し、景観形成基準に適合するよう助言又は指導を行うものとする。

3 前条第2項の規定は、市長が、前項の規定により助言又は指導を行う場合について準用する。

(空地に係る助言及び指導)

第15条 市長は、景観形成地区内において、空地が当該地区の景観を阻害していると認めるときは、当該空地の所有者(権原に基づく占有者又は管理者がある場合は、それらの者を含む。以下「所有者等」という。)に対し、歴史的景観の形成を配慮した適正な空地の管理又は利用を図るよう助言又は指導することができる。

2 第13条第2項の規定は、市長が、前項の規定により助言又は指導を行う場合について準用する。

第3章 伝統的建造物群保存地区

(保存計画)

第16条 市長及び教育委員会は、伝統的建造物群保存地区(以下「保存地区」という。)が定められたときは、審議会の意見を聴いて、当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めるものとする。

2 前項の保存計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 保存地区の保存についての基本計画に関する事項

(2) 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物等(以下「伝統的建造物」という。)及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件(以下「環境物件」という。)に関する事項

(3) 保存地区内における建築物等及び環境物件の保存整備計画に関する事項

(4) 保存地区内における建築物等及び環境物件に係る助成措置等に関する事項

(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備に関する事項

3 市長及び教育委員会は、第1項の保存計画を定めたときは、これを告示しなければならない。

4 第1項及び前項の規定は、保存計画を変更する場合について準用する。

(現状変更行為の規制)

第17条 保存地区内において、次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、市長及び教育委員会の許可を受けなければならない。

(1) 建築物等の新築、増築、改築、移転又は除却

(2) 建築物等の修繕、模様替え又は色彩の変更で、その外観を変更することとなるもの

(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更

(4) 木竹の伐採

(5) 土石類の採取

(6) 水面の埋立て

2 前項の規定は、非常災害のため必要な応急措置として行う行為、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるものについては適用しない。

3 市長及び教育委員会は、第1項の許可を与える場合は、保存地区の保存のために必要な限度において、条件を付することができる。

(許可の基準)

第18条 市長及び教育委員会は、前条第1項各号に掲げる行為で、次に定める基準(市長にあっては第8号に定める基準)に適合しないと認める場合は、同項の規定による許可をしてはならない。

(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更で、その外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置及び状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が、当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

(4) 伝統的建造物以外の建築物等の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更で、その外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を損なうものでないこと。

(5) 前号の建築物等の移転については、移転後の当該建築物等の位置及び状態が当該保存地区の歴史的風致を損なうものでないこと。

(6) 第4号の建築物等の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を損なうものでないこと。

(7) 前条第1項第3号から第6号までの行為については、それらの行為後の地貌その他の状態が当該保存地区の歴史的風致を損なうものでないこと。

(8) その他当該行為後の建築物等又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に支障を及ぼすおそれがないものであること。

(国の機関等に関する特例)

第19条 第17条第1項の規定は、国若しくは地方公共団体の機関又は法令の規定により国の行政機関若しくは地方公共団体とみなされた法人(以下「国の機関等」という。)が行う行為については適用しない。この場合において、当該国の機関等は、その行為をしようとするときは、あらかじめ、市長及び教育委員会と協議しなければならない。

(許可及び協議の特例)

第20条 第17条第1項及び前条の規定は、文化財保護法施行令(昭和50年政令第267号)第4条第6項各号に規定する行為で規則で定めるものについては適用しない。この場合において、これらの行為のうち、第17条第1項の許可又は前条後段の協議に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長及び教育委員会にその旨を通知しなければならない。

(許可の取消し等)

第21条 市長及び教育委員会は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、保存地区の保存のため必要な限度において、第17条第1項の規定により行った許可を取り消し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、建築物等の改築、移転又は除却その他違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる。

(1) この章の規定又はこれに基づく処分に違反した者

(2) この章の規定又はこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。以下同じ。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者

(3) 第17条第3項の規定により付した条件に違反している者

(4) 詐欺その他不正な手段により、第17条第1項の規定による許可を受けた者

第4章 景観保存物件

(景観保存物件)

第22条 市長は、景観形成地区内(伝統的建造物群保存地区内を除く。)で、歴史的景観の形成を図る上において、特に必要があると認められる建築物等を景観保存建造物、また、特に必要があると認められるその他の物件を景観保存環境物件(以下これらを「景観保存物件」という。)として指定することができる。

2 市長は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴くとともに、当該物件の所有者等の同意を得なければならない。

3 市長は、第1項の規定による指定をしたときは、これを告示するとともに、当該物件の所有者等にその旨を通知しなければならない。

4 市長は、景観保存物件が、滅失、枯死等により歴史的景観上の価値を失ったときその他特別の理由があるときは、第1項の規定による指定を解除するものとする。

5 第3項の規定は、前項の規定により指定を解除した場合に準用する。

(現状変更行為の規制)

第23条 景観保存物件について、次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、市長及び教育委員会の許可を受けなければならない。

(1) 景観保存建造物の増築、改築、移転又は除却

(2) 景観保存建造物の修繕、模様替え又は色彩の変更で、その外観を変更することとなるもの

(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更

(4) 木竹の伐採

(5) 土石類の採取

(6) 水面の埋立て

2 前項の規定は、非常災害のため必要な応急措置として行う行為、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるものについては、適用しない。

3 市長及び教育委員会は、第1項の許可を与える場合は、景観保存物件の保存のために必要な限度において、条件を付することができる。

(許可の基準)

第24条 市長及び教育委員会は、前条第1項各号に掲げる行為で、次に定める基準に適合しないと認める場合は、同項の規定による許可をしてはならない。

(1) 景観保存建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更で、その外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の景観保存建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が景観形成地区の特性を維持していると認められるものであること。

(2) 景観保存建造物の移転(同一景観形成地区内における当該景観保存建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の景観保存建造物の位置及び状態が景観形成地区の特性を維持していると認められるものであること。

(3) 景観保存建造物の除却については、除却後の状態が、景観形成地区の特性を維持していると認められるものであること。

(4) 前条第1項第3号から第6号までの行為については、それらの行為後の地貌その他の状態が景観形成地区の特性を維持していると認められるものであること。

(国の機関等に関する特例)

第25条 第23条第1項の規定は、国の機関等が行う行為については適用しない。この場合において、当該国の機関等は、その行為をしようとするときは、あらかじめ、市長及び教育委員会と協議しなければならない。

(許可及び協議の特例)

第26条 第23条第1項及び前条の規定は、文化財保護法施行令第4条第6項各号に規定する行為で規則で定めるものについては適用しない。この場合において、これらの行為のうち、第23条第1項の許可又は前条後段の協議に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長及び教育委員会にその旨を通知しなければならない。

(許可の取消し等)

第27条 市長及び教育委員会は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、景観保存物件の保存のため必要な限度において、第23条第1項の規定により行った許可を取り消し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、景観保存物件の改築、移転又は除却その他違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる。

(1) 本章の規定又はこれに基づく処分に違反した者

(2) 本章の規定又はこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者

(3) 第23条第3項の規定により付した条件に違反している者

(4) 詐欺その他不正な手段により、第23条第1項の規定による許可を受けた者

第5章 補助等

(経費の補助等)

第28条 市は、保存地区内における建築物等及び環境物件の管理、修理、修景又は復旧について、自ら保存のため適当な措置を行い、又は当該物件の所有者等に対し、その経費の一部を補助することができる。

2 市は、景観形成地区内における景観保存物件の所有者等に対し、その管理、修理又は復旧に要する経費の一部を補助することができる。

第6章 朝倉市歴史的景観審議会

(審議会の設置)

第29条 本市に審議会を置く。

2 審議会は、市長又は教育委員会の諮問に応じ、この条例に規定する事項及び歴史的景観の形成に関する事項について調査審議するとともに、これらの事項について市長又は教育委員会に建議することができる。

(組織)

第30条 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が規則で定める。

第7章 雑則

(委任)

第31条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長及び教育委員会が規則で定める。

第8章 罰則

(罰則)

第32条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。

(1) 第17条第1項の規定に違反した者

(2) 第21条の規定に基づく命令に違反した者

(施行期日)

1 この条例は、平成18年3月20日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の甘木市歴史的景観条例(平成9年甘木市条例第21号。以下「合併前の条例」という。)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

3 施行日の前日までにした行為に対する罰則の適用については、なお合併前の条例の例による。

朝倉市歴史的景観条例

平成18年3月20日 条例第111号

(平成18年3月20日施行)

体系情報
第7編 育/第5章
沿革情報
平成18年3月20日 条例第111号