○朝倉市男女共同参画のまちづくり条例
平成19年12月28日
条例第23号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第11条)
第2章 男女共同参画のまちづくりに関する基本的施策(第12条―第19条)
第3章 男女共同参画苦情処理委員(第20条―第29条)
第4章 男女共同参画審議会(第30条・第31条)
第5章 補則(第32条)
附則
日本国憲法では、個人の尊重と法の下の平等がうたわれており、男女平等推進の国際的潮流の中で、国は「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の批准や「男女共同参画社会基本法」を制定するなど、男女平等の実現に向けた様々な取組を実施してきました。
福岡県においても「福岡県男女共同参画推進条例」を制定及び「福岡県男女共同参画計画」を策定し、県、県民及び事業者が一体となって男女共同参画の推進に取り組んでいます。
本市においては、「朝倉市男女共同参画推進計画」を策定し、施策の取組を行っています。
しかし、市民の意識や社会通念、地域のあらゆる活動の場においては、男女の固定的な役割分担や性差別的な意識や行動がいまだに残っています。
さらに今日、急激な少子高齢化社会の進展など社会情勢の変化が急速に進み、それに対応できる社会の実現が強く求められています。
こうした状況を踏まえ、本市は男女が自立し、助け合い、性別に関係なくそれぞれの個性と能力を十分発揮し、共に責任を担っていく男女共同参画のまちづくりを進めるため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画のまちづくりに関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者等の責務を明らかにするとともに、施策の基本的な事項を定めることにより、「男女がともに自立し支え合い、個性や能力を発揮できる元気な朝倉市」を目標に、男女共同参画のまちづくりを総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 市民 市内に居住する者、通勤する者、通学する者その他市内を活動の拠点とする個人をいう。
(4) 事業者 市内において、営利、非営利を問わず、事業を行うものをいう。
(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者等の親密な関係にある男女間において、身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう(離婚又は婚姻が取り消された場合、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力等を含む。)。
(6) セクシュアル・ハラスメント 相手の意思に反して行われる性的な言動(身体への不必要な接触、性関係の強要、性的なうわさの流布等)により、当該言動を受けた個人の尊厳を傷つけ、職場環境・生活環境を害すること又は当該言動を受けた個人の対応(拒否、抵抗等)に対して不利益を与えることをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画のまちづくりは、次に掲げる事項を基本理念として、家庭、地域、学校、職場等社会のあらゆる分野において、市、市民及び事業者等が協働し、進めるものとする。
(1) 男女の人権が尊重され、性別による差別的取扱いを受けることなく、個性と能力が発揮できる機会が確保されること。
(2) 社会における制度又は慣行に基づく、性別による固定的な役割分担等を見直し、地域、学校、職場等の分野において、個人の能力を十分に発揮する機会や学習の場が確保されること。
(3) 男女が、市の諸施策又は事業者等における方針の立案や決定に社会の対等な構成員として共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家族を構成する男女が、お互いの理解と協力及び社会の支援の下に、次世代を担う子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動において、家族の対等な一員としての役割を円滑に果たすとともに、仕事、地域活動、ボランティア活動等家庭生活における活動以外の活動との両立が図られるよう配慮されること。
(5) 男女が互いの性及び妊娠、出産等について、理解を深め尊重しあうとともに、生涯にわたり身体的、精神的及び社会的に良好な状態の保持が図られること。
(6) 男女共同参画のまちづくりは、国際社会の取組と密接な関係にあることから、国際的協調の下に行うこと。
(市の責務)
第4条 市は、男女共同参画の推進を主要な政策として位置付けるとともに、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画のまちづくりに関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、実施しなければならない。
2 市は、男女共同参画を推進するため、必要な法制上及び財政上の措置を講ずるよう努めなければならない。
3 市は、全ての施策を策定し、実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
4 市は、男女共同参画を推進するに当たっては、国及び他の地方公共団体との連携を図るとともに、市民及び事業者等と協力しなければならない。
(市議会の責務)
第5条 市議会は、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、地域、学校、職場等社会のあらゆる分野に自ら積極的に参画するとともに、市が実施する男女共同参画のまちづくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、その活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女が共同して参画する機会の確保及び仕事と家庭生活における活動その他の活動が両立できるような就業環境の整備に努めるなど、市が実施する男女共同参画のまちづくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
(教育に携わる者の責務)
第8条 教育に携わる者は、家庭、地域、学校等のあらゆる教育の場において、男女共同参画の推進に果たす教育の役割の重要性を考慮し、基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。
(市内に活動拠点を置く団体の責務)
第9条 市内に活動拠点を置く自治組織、スポーツ団体、ボランティア団体等は、その活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女共同参画を積極的に推進するとともに、市が実施する男女共同参画のまちづくりに関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別を理由とした人権侵害行為等の禁止)
第11条 全ての人は、社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱い及びドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメントその他の性別に起因する心身に及ぶ暴力等の行為により人権を侵害してはならない。
2 全ての人は、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び差別又は男女間における暴力等を連想若しくは助長する表現並びに男女共同参画の推進を阻害する表現を行わないよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画のまちづくりに関する基本的施策
(推進計画)
第12条 市は、男女共同参画のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、朝倉市男女共同参画推進計画(以下「推進計画」という。)を策定しなければならない。
2 市は、推進計画を策定又は変更するに当たっては、市民の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。
3 市は、推進計画を策定し、又は変更したときは、速やかに公表しなければならない。
4 市は、毎年1回、男女共同参画のまちづくりに関する施策の実施状況及びその評価について報告書を作成し、これを公表するものとする。
(配偶者暴力防止基本計画)
第13条 市は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)に基づく基本計画(以下「配偶者暴力防止基本計画」という。)を策定するよう努めるものとする。
(政策の立案及び決定の過程における男女共同参画)
第14条 市は、政策の立案及び決定の過程における男女共同参画の推進のために、次に掲げる事項に取り組むものとする。
(1) 附属機関等の委員を委嘱し、又は任命するときは、当該附属機関等における男女の数がいずれかの性に偏らないよう努めること。
(2) 男女の別なく、職員の能力及び意欲に応じた登用を図るため、女性職員の職域の拡大及び能力向上の機会の確保に努めること。
(調査研究)
第15条 市は、男女共同参画のまちづくりに関する施策を推進するために、情報の収集及び分析その他の調査研究を行うものとする。
(教育及び学習の充実)
第16条 市は、家庭、地域、学校等のあらゆる教育の場において、男女共同参画に関する教育及び学習の充実が図られるよう努めるものとする。
(支援)
第17条 市は、男女共同参画のまちづくりを進めるため、市民及び事業者等に対し、環境整備、情報の提供、相談その他の必要な支援を行うよう努めなければならない。
(男女共同参画推進体制)
第18条 市は、男女共同参画の推進に向けて、男女共同参画のまちづくりに関する施策を総合的に策定し、及び実施するために必要な体制の整備を図らなければならない。
(相談・対応等)
第19条 市は、男女共同参画のまちづくりの推進を阻害する問題等に関する窓口を設置し、市民及び事業者等から相談があった場合は、県及び国の関連機関並びに民間の関係団体との連携のもとに適切な措置を講じるよう努めるものとする。
2 市民及び事業者等は、前項に規定する措置で問題が解決しない場合は、朝倉市男女共同参画苦情処理委員に苦情及び救済の申出をすることができる。
第3章 男女共同参画苦情処理委員
(設置)
第20条 市長は、次に掲げる事項を処理するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づく附属機関(以下「附属機関」という。)として、朝倉市男女共同参画苦情処理委員(以下「苦情処理委員」という。)を置く。
(1) 市が実施する男女共同参画のまちづくりに関する施策若しくは措置又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策若しくは措置についての苦情
(2) 性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因によって人権が侵害された場合における被害者の救済
2 苦情処理委員の定数は、3人以内とする。
3 苦情処理委員は、男女共同参画のまちづくりに関する施策に関して優れた識見を有し、性別による差別の解決に熱意があり、社会的信望の厚い者のうちから、市長が委嘱する。ただし、苦情処理委員の数が2人以上である場合においては、男女いずれか一方の性によって占められてはならない。
(職務)
第21条 苦情処理委員は、次に掲げる職務を行う。
(1) 申出又は苦情処理委員の発意に基づき、前条第1項第1号に規定する苦情を処理するための調査又は勧告等を行うこと。
(2) 申出又は苦情処理委員の発意に基づき、前条第1項第2号に規定する救済を処理するための調査、勧告又は要請等を行うこと。
(3) 制度改善のための意見を表明すること。
(4) 勧告、要請又は意見表明等の内容を公表すること。
2 苦情処理委員は、独立してその職務を行う。ただし、重要な事項については、苦情処理委員の合議を要する。
(代表苦情処理委員)
第22条 苦情処理委員の互選により、代表苦情処理委員を定める。
2 代表苦情処理委員は、合議事項につき苦情処理委員を代表する。
(任期)
第23条 苦情処理委員の任期は、3年とする。ただし、再任を妨げない。
2 補欠の苦情処理委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(責務)
第24条 苦情処理委員は、男女共同参画及び人権の擁護者として、公平かつ公正にその職務を遂行しなければならない。
2 苦情処理委員は、その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。
(除斥)
第25条 苦情処理委員は、公平かつ公正な職務の遂行に支障を生じるおそれのある場合は、第21条に定める職務に関わることができない。
(兼職の禁止)
第26条 苦情処理委員は、国会議員、地方公共団体の議会の議員若しくは長又は政党その他の政治団体の役員と兼ねることができない。
2 苦情処理委員は、市と取引関係のある法人その他の団体の役員又は苦情処理委員の公平かつ公正な職務の遂行に影響を及ぼすおそれのある職業等と兼ねることができない。
(守秘義務)
第27条 苦情処理委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(解嘱)
第28条 市長は、苦情処理委員が次の各号のいずれかに該当すると認める場合は、委嘱を解くことができる。
(1) 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又は職務に堪えられない場合
(3) 苦情処理委員としてふさわしくない行為が明白に認められる場合
(関連機関等との連携)
第29条 苦情処理委員は、その職務の遂行に当たっては、市、県及び国の関連機関並びに民間の関係団体と連携を図るよう努めなければならない。
第4章 男女共同参画審議会
(設置)
第30条 本市における男女共同参画に関する現状及び課題を総合的に検討し、男女共同参画社会の実現を図るため、附属機関として朝倉市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議し、答申するものとする。
(1) 男女共同参画のまちづくりに向けた推進計画の策定及び変更に関すること。
(2) 男女共同参画のまちづくりに向けた施策の実施状況の点検・評価に関すること。
(3) その他男女共同参画のまちづくりに向けた事項に関すること。
3 審議会は、前項に掲げる事項について調査審議し、市長に建議することができる。
4 審議会は、市の男女共同参画のまちづくりに関する施策に連携し、協力するものとする。
(組織)
第31条 審議会は、委員15人以内をもって組織する。この場合において、男女いずれか一方の委員の数が委員の総数の10分の4未満であってはならない。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 識見を有する者
(2) 関係団体代表
(3) 市民
3 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
4 補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
第5章 補則
附則
附則(平成25年条例第28号)
この条例は、平成26年1月3日から施行する。