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市長施政方針(平成28年第1回朝倉市議会定例会)

登録日:2016年06月29日

 

本日ここに、平成28年第1回朝倉市議会定例会を招集いたしましたところ、皆様方にはご多忙な中にお繰り合わせご出席を賜り、厚くお礼申し上げます。

本議会は、市政運営の基本となる平成28年度の当初予算をはじめ、多くの重要な案件について、ご審議をお願いするものであります。したがいまして、その冒頭で私の平成28年度における市政運営に対する所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。

さて、政府は、安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」を実現するために「新3本の矢」として挙げた(1)子育て支援充実による希望出生率1.8、(2)社会保障改革による介護離職ゼロ、(3)国内総生産(GDP)600兆円の数値目標の実現に向けた施策を盛り込んだ平成28年度予算を閣議決定しました。一般会計の総額は、96兆7,000億円を超える規模となり、4年連続で過去最大を更新しました。

歳入では、税収を25年ぶりの高水準と見込み、新規国債発行を2兆円以上減らすことができましたが、歳出の膨張に歯止めがかかっていません。

また、昨年の6月に閣議決定した政府の経済・財政再生計画は、平成32年度までに国・地方の基礎的財政収支、いわゆるプライマリー・バランスを黒字化する目標の達成に向け、歳出総額から国債費と地方交付税を除いた国の一般歳出を前年度比5,300億円程度の伸びに抑えることを目標としていましたが、伸びは4,731億円となり目標を達成しました。

私は、市長就任以来「親と子と孫が一緒に暮らす朝倉市」を目指し、親と子が同居し、又は近居することができるよう、働く場を確保するための企業誘致、子どもを安心して育てられる環境づくりのための医療費の助成、学童保育所の新設、保育所の改築、小中学校の大規模改修と耐震化、生活インフラの整備として三奈木地区等の下水道工事の着手、原鶴地域の浸水対策、池田・久喜宮線の整備等を実施してまいりました。

国勢調査によりますと、朝倉市の人口は、昭和60年の65,128人をピークに年々減少し、平成22年には56,355人となっております。0歳から14歳までの年少人口が減少する一方で、65歳以上の老年人口が大幅に増加し、少子高齢化が急激に進行しています。

転入数から転出数を引いた社会増減と出生数から死亡数を引いた自然増減は、平成21年まではいずれも大きく減少する傾向にありましたが、平成22年以降は社会減が小さくなりました。しかし、自然減が大きな状況は続いています。

朝倉市の将来人口は、国立社会保障・人口問題研究所によると、平成52年には38,750人に減少すると推計されていますが、市の人口ビジョンでは、出生率を上げることにより41,000人を維持できると推計しました。

このような喫緊の課題であります人口減対策と地域活性化対策につきましては、本議会に上程する「朝倉市総合戦略」に掲げています(1)特色を生かした仕事ができる朝倉、(2)誰もが住みたい朝倉、(3)安心して結婚・出産・子育てができる朝倉、(4)地域の個性で輝く朝倉、(5)全力で魅力を発信する朝倉の5つの柱を目標とし、各種施策に取り組んでまいります。

朝倉市総合戦略を推進していくための財源として、平成28年度は、総額1,000億円、補助率2分の1の国からの「地方創生推進交付金」が考えられますが、国は、この交付金を安定的・継続的な補助として支援できるように地域再生法を改正し、法に基づく交付金として位置付けるようであります。そうなると、各自治体で地域再生計画を策定し、内閣総理大臣の認定を受けることが必要になります。地域再生計画の申請時期及び決定時期が未定でありますので、本市の当初予算の歳入には未計上でありますが、決定後は速やかな予算措置を行いたいと考えています。

また、国の平成27年度補正予算として、総額1,000億円、補助率10分の10の「地方創生加速化交付金」が示され、現在、この交付金の計画を策定中であります。交付対象事業の決定が3月中旬となる予定でありますので、本議会の当初提案には間に合いません。したがいまして、地方創生加速化交付金を利用した事業の補正予算は、追加議案又は専決処分により対応させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

平成28年度は、市長就任2期目の3年目となります。就任時に策定しました(1)災害に強いまちづくり、(2)安心して暮らせるまちづくり、(3)環境を大切にするまちづくり、(4)産業の盛んなまちづくり、(5)快適で住みよいまちづくり、(6)市民サービスの向上と健全財政のまちづくりの6つの柱に関する施策を着実に実施し、地域の特色や地域資源を生かし、魅力あふれる朝倉市づくりを目指します。

特に平成28年度は、庁舎及び十文字公園に予定しています総合的体育施設の基本設計を計画しております。十文字公園整備は、国からの補助金を最大限獲得できるよう最善の努力を行います。

以上のような考え方で編成しました平成28年度の当初予算をはじめとする各議案につきましては、重点施策の6つの柱に基づき説明申し上げます。

1に災害に強いまちづくりです。

東日本大震災、九州北部豪雨等の災害の経験から、これまで自主防災組織の強化、自主防災マップの作成、地域防災計画の見直し、コミュニティを中心とした避難支援計画等を実施してきました。平成28年度は、土砂災害計画区域等を表示した土砂災害ハザードマップを作成します。

また、朝倉老人福祉センターの耐震化工事の実施設計並びに木造戸建住宅の耐震改修工事費補助及び民間施設に対する耐震改修工事費補助を行います。

秋月小中一貫校及び新設杷木小学校の区域には、土砂災害警戒区域が一部指定されています。安心な学校を整備することは市の務めでありますので、引き続き県に防災工事の早期着工の要望をしてまいります。

第2に安心して暮らせるまちづくりです。

子ども医療費については、中学生までの入院費の助成は継続し、平成28年10月から小学生の通院費の助成を新設し、子育ての経済的負担を軽減します。

中学生以下に対するインフルエンザ予防接種補助については、接種する医療機関で料金が異なっている中で個人負担1,000円としていましたが、平成28年度からは、市の補助額を3,000円に統一します。高齢者のインフルエンザ予防接種補助については、ワクチン代の高騰に伴い個人負担を1,500円としました。

子育てをしながら働く環境づくりとして、これまで保育所の増改築及び学童保育所の充実を図ってまいりましたが、平成28年度は、蜷城学童保育所の開設、馬田学童保育所の建替え及び休日保育を実施します。

また、結婚を希望する男女をはじめ、これから家庭を築こうとする方の出会いを支援し、多くの方々に市内に住んでいただけるよう、「縁結び事業」は、予算を拡大して、引き続き取り組んでまいります。

小中学校の教育環境については、平成27年度に中学校の、平成28年度に小学校のエアコンを整備し、快適な教育環境が整う予定です。今後実施します秋月小中一貫校建設事業及び杷木統合小学校建設事業では、地域の皆様の意見を取り入れて建設を行ってまいります。また、不登校対策では、不登校復帰支援員を新たに配備し、学校、教育委員会及び教育センターと連携を取りながら対策を行ってまいります。

高齢者に関する様々な相談を受け付ける地域包括支援センターは、本庁に1箇所設置して対応してきましたが、4月からは市内3箇所に設置し、よりきめ細やかな体制といたします。

第3に環境を大切にするまちづくりです。

朝倉市には、福岡都市圏の大きな水がめとなっている江川ダム・寺内ダムの2つのダムがあり、3番目のダムとして小石原川ダムの建設が進んでいます。さらに、筑後川の流量が豊富で江川ダム・寺内ダムに空き容量がある場合に、筑後川の水をこれらのダムに貯水し、渇水時に放流することで筑後川の安定流量を保つ筑後川水系ダム群連携事業が計画されています。平成27年10月に関係機関が集まり第2回目のダム群連携事業検討の場が開催されました。私は、その場で、「朝倉市は、今まで水源地の役割を果たしてきた。連携事業もその一つであるが、市へのメリットが見出されていない。市の水環境は、近年悪化しているが、連携事業は、水環境の改善に寄与するものでなければならない。環境アセスメント評価がなされないまま、事業が実施されようとしていることへの不安がある。朝倉地域には、独特の環境・生物等が生息しているが、筑後川からの流入水でどのような影響があるのかわからない状況で事業を進めるのは、心配である。環境アセスメント評価が実施されないのであれば、それに代わるものの提示が必要である。」ことなどを訴え、この事業に対する賛成・反対の意思は表明しておりません。今後の状況を見ながら、市の方針を決定していきたいと考えています。

また、本市は、絶滅危惧種であるスイゼンジノリの自生地でもあります。

スイゼンジノリの保全のための水確保の補助を継続し、豊かな自然に恵まれた地域資源である「水」に対する総合的な政策を進めていくために、水政策アドバイザーを新たに配置し、地域の水資源の確保や水環境に関する施策の推進を行ってまいります。

第4に産業の盛んなまちづくりです。

平成26年度からは、朝倉市の特産品開発及びパッケージ作成の補助を実施してきました。中でも親鳥炒飯、原鶴温泉化粧水「鶴姫」等が好評で、特に、からし菜の仲間である(つぼ)(みな)を古漬けにした「愛ばあちゃんの(つぼ)(みな)(づけ)」は、完売の状況です。平成28年度もこれら農林水産物、加工品、工芸品等の地域資源を朝倉ブランド商品として売り出すための統一ロゴマークや総合的なイメージづくりを進めます。

また、朝倉市の生産物を活用した商品開発の補助も継続します。

農林業については、園芸農業の施設・機械整備に対する補助及び生産コスト削減のための高性能農業機械導入、特産農産物振興・6次産業化推進事業等に対する補助を継続し、老朽したため池の改修を引き続き実施します。

また、当初計画より大きく来店者が増えた三連水車の里あさくらにトイレを増設するための設計費を計上いたしました。

平成23年度から産業政策マネージャーを配置し、企業誘致に一定の効果を上げてきました。市内に雇用の場を増やすことは、重要なことでありますので引き続き産業政策マネージャーを配置し、市民の雇用の場の確保に努めます。また、市外で暮らす「孫」が、祖父母の住む朝倉市へ転入する「孫ターン」を推進するため、市内在住の方と同様に、孫ターンする方を雇用するよう企業に働きかけを行ってまいります。

商工会議所、商工会等が行うプレミアム付き地域振興券の発行に対する助成は、引き続き実施し、消費の喚起と地域経済の活性化を図ってまいります。

第5に快適で住みよいまちづくりです。

下水道の整備については、平成27年度に、福田地区の単独公共下水道区域を筑後川中流右岸流域下水道へ接続する可能性調査を実施してまいりましたが、区域の見直しを行うことで可能との結果が出ました。現在、県と協議中ですが、協議が整い次第、福田地区を筑後川中流右岸流域下水道に編入する汚水処理構想の変更を行います。

三奈木地区等の特定環境保全公共下水道の区域については、平成29年4月から一部供用開始ができるよう、工事の推進に努めます。

市営住宅については、松の木団地の整備が終了し、天神町団地の建替え建設工事及び中町団地建替えのための実施設計を行います。

甘木鉄道は、小郡駅・基山駅で西鉄又はJRに乗り換えることで、福岡方面・久留米方面への通勤・通学のための重要な交通手段となっています。この路線は、旧国鉄時代の赤字路線として廃止予定であったものを当時の関係者の努力で第3セクターとして残されたものであります。基山駅でJRに乗り換えることなく、そのまま博多駅まで行くことができるとなれば、甘木鉄道の利用が増え、定住促進にもつながります。この博多駅直通電車の可能性を、検討いたします。

朝倉農業高等学校跡地の整備については、土地を寄付していただいた同校の同窓会の思いをくみ、農のエリア及び農業団体の活動エリアを整備し、分散・老朽化している体育施設の集約とともに、市民の憩いの場と交流拠点の場として総合的体育施設整備を計画しています。平成28年度は、総合的体育施設の基本設計及び跡地内の校舎の解体工事を予定しています。施設建設には多くの財源を必要とすることから、国の都市公園事業の補助を予定していますが、現状の国の財政を鑑みると厳しい状況が推測されますので、全力をあげて補助金の獲得に努めます。

市内の各地に空家が増えてきています。特に、山間部に多く、人口減に伴い地域の活力が低下しています。これらの住宅を、市外からの移住用の住宅又は店舗等として利用できるよう、宅地建物取引業協会と共同で空家の調査・登録を行います。

一部の地域を除いて、市内では過疎化が進行しています。地域のいろいろな課題を解決し、地域を活性化するため、総務省が推奨している集落支援員を設置します。

第6に市民サービスの向上と健全財政のまちづくりです。

平成26年に実施した診断で耐震不足が判明した本庁舎は、建替えの検討を進めています。

平成18年3月の合併時に決定された合併協定書では、「庁舎の配置方式については、本庁・支所方式とする。」と決定されていますが、現在の庁舎の配置は、本庁舎の事務スペースの不足から、一部の課を朝倉支所等に分散して配置している状況です。庁舎の配置方式については、当時の関係者のなみなみならぬご苦労の末に合意された重大な決定であると認識しており、引き続きこの協定を実施していくことは、2代目市長として市政を任せられた私の使命と考えていますが、一方で、本庁・支所方式を見直し、本庁機能を一部分散化した方が良いという声があることも承知しているところです。

新庁舎の場所については、ピーポート甘木周辺と決定していますが、庁舎の規模や詳細な建設地については検討中であるため、庁舎建設の基本計画がまだ策定できておりません。基本設計・実施設計の予算は、平成28年度予算に計上させていただいておりますが、今後、議会及び市民の皆様の意見を十分に拝聴したうえで、基本計画を決定した後に取り掛からせていただきたいと考えております。

組織体制については、庁舎建設事業と朝農跡地対策事業を、事業量の増大に伴い総合政策課から分離し、独立した課といたします。また、組織のスリム化を図るため大課制を目指し、総務部内の課を統合再編するほか、市街地活性化推進室は都市計画課の中に組み込みます。

下水道使用料は、原則として水道使用量を基に計算されます。現在、下水道課は5階に、水道課は2階にあるため、市民の利便性や事務の連絡に不便をきたしています。水道課を5階に移動することで2つの課の連携を密にし、仕事の効率アップを図ってまいります。

ふるさと納税については、昨年の6月からお礼の品を充実したところ、平成27年末で1億8千万円を超える寄付額となりました。寄付により財政の好転に大きな影響を与えると同時に、お礼の品を地域の産物に限定することで地域の農産物・商品の販売増に大きく貢献しています。平成28年度は、さらにお礼の品を拡充することで、朝倉市を応援していただける方を増やし、3億円の寄付額を目標とします。

国民健康保険特別会計の慢性的な赤字対策として、平成26年度に2億円の一般会計繰り出しを行い、平成27年度から国民健康保険税率を上げさせていただきましたが、根本的な赤字解消には至っておりません。増大する医療費の削減策として、特定健診の未受診者に対する指導の強化、柔道整復師の頻回受診の点検、健康増進のためのスロージョギングやステップ運動の推進を行います。また、飲み残しの薬がある場合は、処方される薬を減らすために取り組む事業である節薬バッグ運動を薬剤師会と共同で実施し、医療費の抑制を図ります。加えて、年度末に赤字の状況を勘案して一般会計からの繰り出しを行います。

本年4月から電力小売りが全面自由化となり、新規参入の電力事業者が出現すると、電力の購入先の選択肢が増えてきます。市の公共施設の電力使用状況を調査し、市に有利な電力業者を選択いたします。

以上、平成28年度の施政方針について申し上げました。

今後、税収の減などの不透明な要因はありますが、庁舎の建設のほか将来の人口減に対する対策等、今すべきことを実施しないと更なる減収・人口減となるおそれがあります。

議員各位には、重ねてご理解とご協力をお願い申し上げ、私の施政方針といたします。

 

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