本日ここに、平成31年第1回朝倉市議会定例会を招集いたしましたところ、皆様方にはご多忙な中にお繰り合わせご出席を賜り、厚くお礼申し上げます。 本議会は、市政運営の基本となる平成31年度の当初予算をはじめ、多くの重要な案件について、ご審議をお願いするものであります。したがいまして、その冒頭で私の平成31年度における市政運営に対する所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。 この遅れを取り戻すことはもちろん、復旧・復興を着実に前に進め、さらに、加速させたいと考えております。同時に、地方創生の推進を重要課題として、第2次となる総合戦略を策定し、強力に取り組んでまいる所存であります。 政府は、平成31年度政府予算案について、次の3点を掲げております。1点目は、全世代型の社会保障制度の転換に向け、消費税増収分を活用した幼児教育の無償化及び社会保障の充実。2点目は、消費税率引上げによる経済への影響の平準化に向けた、施策の総動員。3点目は、重要インフラの緊急点検等を踏まえた防災・減災、国土強靭化のための緊急対策を3年間で集中的に実施するとしており、予算としては、初めて100兆円の大台を超えました。国の動きを見定めながら、市の施策に的確に対応させてまいります。 現在、市では、災害の影響もあり、様々な事業を延期又は中止しております。全ての事業が被災前と同様に実施できるとは限らず、見直しが必要であると考えております。 今後の市政発展に大きな影響を与える合併特例債事業は、5年間の延長となり、2025年度までの適用となりました。凍結しております大型事業につきましては、財政状況を勘案し、優先度を検討したうえで、平成31年度以降、順次方針を示しながら、将来に向けた「責任ある決断」をしたいと考えております。 さらに、災害からの復旧・復興と地方創生の推進の2つを横断的に取り組む重点分野として設定いたしました。施策の枠組みを越え、連携させながら、全庁を挙げて横断的に取り組んでまいります。 まず、一つ目の基本目標は、「災害や危機に強く、安全・安心が実感できるくらしの実現」です。復興計画に基づき、安全なまちづくりを推進していくため、被災地域の方々と市が一体となり、地域の再生・発展に向けた取組を行ってまいります。旧久喜宮小学校跡地に防災拠点施設及び防災広場を整備するほか、被災者一人ひとりの復興を実現させるため、状況に応じたきめ細かな支援を行う朝倉市地域支え合いセンターを引き続き運営してまいります。 地域においては、防災意識を高め、住民同士が連携しつつ、迅速かつ的確な避難行動や防災活動を行うことが重要であります。防災の専門的知識を有する防災士に各地域でリーダーとして活躍していただくため、新たに防災士の資格取得費の補助を行ってまいります。 平成29年7月九州北部豪雨災害の教訓を踏まえ、元気であり続ける強靭な地域を作り上げるための国土強靭化地域計画を平成31年度中に策定してまいります。 また、気象情報を的確に把握し、避難準備、勧告、指示などの情報提供に結び付けるため、実証実験中の気象災害予測支援システムを本格導入いたします。 次に、二つ目の基本目標は、「人がつながり、支えあう活力ある地域社会の創造」です。地域コミュニティの活動は、市民生活に根付き、地域住民の期待も大きいものがあります。市内の17地域コミュニティの活動を円滑に進めるため、助成補助金に協働加算を創設し、支援を拡大いたします。 平成28年に、部落差別解消推進法、障害者差別解消法及びヘイトスピーチ解消法が施行され、男女共同参画やLGBTをはじめとする性的マイノリティなどへの理解を深めるため、粘り強い教育と啓発を推進していく必要があります。 あらゆる分野において、性別に関わりなく個性や能力を発揮する機会と参画できる学習の場を増やしていくため、男女共同参画の推進を図ってまいります。平成29年度実績では、31.5パーセントでありました審議会などの女性委員の割合を、4年後は35パーセントに引き上げることを目標として掲げてまいります。 風しん及び麻しんの拡大防止のため、予防接種を受けていない年代や妊婦などに対して、また、子どもと接する機会が多い児童福祉施設などの職員に対して、無料で予防接種を実施してまいります。 高齢化に伴い、介護サービスや生活の支援を必要とする方々が増えてまいります。安心して生活ができる環境づくりを充実させながら、一方で、医療費の削減や認知症の対策を粘り強く進めてまいります。 ごみの適正処理とリサイクル、市民が主体となった環境美化運動を推進することにより、ごみの無いまちにしていきたいと考えております。リサイクルを一層推進することにより、循環型の社会構築を目指す取組を引き続き充実させてまいります。 新規就農者に対する営農支援を強化するために、研修を受け、市内で就農した農業者に対し、資機材の購入補助を行ってまいります。また、就農里親事業として、新規就農者を受け入れ、支援する認定農業者に対し、費用の一部を助成してまいります。 市内に雇用の場を増やす企業誘致につきましては、県や不動産業界をはじめとする様々なネットワークを駆使し、誘致活動を行う産業政策マネージャーを引き続き配置して、推進してまいります。 商工会議所及び商工会が合同で行うプレミアム付き地域振興券の発行に対する助成を引き続き行うなど、中小企業の振興にも力を注いでまいります。 ダム完成などに合わせたイベントと市内の地域資源を結びつける試みの一つとしまして、「観光・食・農」魅力発信プロジェクト事業に取り組んでまいります。庁内関係部署が連携して、初年度に秋月エリアマップ、仮称「秋月さるきマップ」を整備いたします。 都市圏への通勤・通学の利便性を向上させるため、高速甘木バス停駐輪場の屋根の整備及び西鉄甘木線馬田駅の公営駐車場整備に取り組み、パークアンドライドを促進してまいります。 朝倉市汚水処理施設整備構想の見直しにより、単独公共下水道で計画しておりました福田地区を流域関連公共下水道に接続することとしており、平成31年度は、基本設計を行ってまいります。 地元の合意を基に、現在の安川保育所敷地内に秋月・安川保育所の統合に伴う新園舎建設事業に着手いたします。 甘木に二つ目の学童保育所、立石に四つ目の学童保育所を建設し、また、蜷城学童保育所の建設事業にも着手いたします。 現在、小中学校の給食費は、全額保護者の負担となっております。栄養バランスとおいしさを保ちつつ、材料費の高騰などに適切に対応するためには、一人当たり月額300円の増額を必要とします。市が上昇分を補助することで、給食費の値上げをせず、保護者の負担軽減を図ってまいります。 子どもの居場所支援事業補助金を創設いたします。現在、家庭で朝食をとることができない子ども、放課後に居場所が無い子どもが社会問題となっております。そのような子どもたちに食事や居場所を提供する団体などに対し、補助金を交付するものであります。 第2次朝倉市総合計画で横断的に取り組む重点分野の一つである災害からの復旧・復興には、多くの財源と人員並びに一定の時間を必要といたします。 財源につきましては、想定外の一般財源が必要になることも考えられます。通常の行政運営に必要な財源をしっかり確保することに加えて、特別交付税の措置が最重要となってまいります。様々な財源確保に向け、私自身の経験や積み重ねてまいりました人脈を生かして要望活動を行うなど、果敢に取り組む覚悟であります。 人員確保につきましては、全国の自治体から派遣職員をお願いするほか、任期付職員の採用や職員の前倒し採用で対応していきたいと考えております。それでも不足することが予想されますが、私が自ら先頭に立って対応してまいります。 また、入居後2年間という応急災害仮設住宅の入居期限が、7月以降に迫ってまいります。すまいの再建は、喫緊に取り組むべき最重要課題であります。旧久喜宮小学校グラウンドなどを宅地として整備し、被災者向けに優先的に分譲し、すまいの再建を促進してまいります。 ハード及びソフトの両面から総合的に取り組まなければならないと考えておりますが、復旧は道半ばであり、しかもハード対策には限界があります。改めてソフト対策を徹底し、要支援者対策、避難情報の事前周知など、できる限り多くの方々に情報が届くよう伝達することを最重要目標に取り組んでまいります。 豪雨災害からの教訓と記憶を風化させないために、現在、災害の記録と災害の検証を策定中であります。これらを公表し、後世に伝えてまいります。 復旧・復興なくして、朝倉市の将来は描けません。道のりは決して平坦ではございませんが、これからも市役所、市議会、市民、関係機関・団体、多くの方々が共に手を取り合い、一丸となり、「オールあさくら」で、1日も早く元の平穏な生活と自然豊かな美しい朝倉を取り戻し、将来世代に渡って安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。