無視できない虫の話

 先月のことですが「アソコになんかできた」という患者さんが来ました。アソコといえば・・・そうアソコです。

医学用語でいうと陰嚢(いんのう)という部分です。その部分を診てみると、5円玉くらいの大きさで黄土色をした丸いモノが付いています。顔を近づけて詳細に観察したところ、なんと細かく小さい脚のようなものをモゾモゾと動かしているではありませんか!! これには、たまがりました。医者になって40年近くになりますが、実物を目にしたのは初めてです。これはアレに違いないと思い皮膚科に行ってもらいましたが、正体は何だったと思います?

実はマダニでした。しかもコレほど大きなものは見たことがない、と言われたそうです。

マダニは家庭内に生息するダニとは種類が異なる、比較的大型のダニで、人や動物の血を吸った後は1センチ以上にも膨れあがることがあります。主に森林や草地等の屋外に生息していて市街地周辺でも見られます。この方の場合は、たまたま陰嚢に食いついていましたが、体の柔らかい部分ならどこにでも食いつきます。マダニが怖いのは、重症熱性血小板減少症候群やライム病、先ごろニュースにもなった日本紅斑熱など、多くの感染症を媒介することがある点です。もしも噛みつかれたなら無理に引き抜こうとせずに、医療機関(皮膚科)を受診してください。そして少なくとも13週間は体調の変化に注意してください。

夏に多く見かける虫といえば・・・そう、水虫ですね。一般にいう水虫とは、白癬菌というカビの一種が皮膚に寄生して起こる身近な感染症です。足だけでなく体のどこにでもでき、それこそ頭の天辺から足の爪先まで寄生します。頭にできた場合は俗にシラクモ、内股の場合はご存知インキンタムシと呼ばれます。水虫は塗り薬で治療しますが、爪の水虫(爪白癬)は難治性です。爪が白く濁ったり、黄色く変色して爪の先の部分が分厚くなるなど変形してきます。60歳以上の4割は爪白癬にかかっているとも言われますが、痒み等の自覚症状もないため、老化によるものなどと思われがちです。従来は飲み薬で治療していましたが、今は効き目の強い塗り薬もあります。爪から体の他の部分にうつったり、他の人にうつすこともあります。簡単な検査で診断できますので、気になる方は受診されて下さい。

水虫とならんで身近な虫といえば・・・そう虫歯ですね。虫歯の原因はミュータンス菌などの虫歯菌ですが、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌はいません。周りの人、特にいつも身近にいるお母さんからうつることが多いのです。乳歯の虫歯を放っておくと永久歯にも悪影響がでますので、乳歯が生え始めた頃から予防しましょう。虫歯予防のポイントは、砂糖をひかえて、しっかり歯磨きすることですが、キシリトールやフッ素などを上手に利用してください。

人と虫のつきあいは長く、虫を使ったことわざや慣用句も数多くあり、また薬として重宝された虫もいます。例えば蜂の子やアリは滋養強壮、セミのぬけがらやミミズは風邪、ナメクジは花粉症や気管支の病気、カタツムリを煎じて飲めば下痢に効くそうですが、試さない方が無難かと思います。

こういう話をきくと、虫が嫌いな人は虫唾(むしず)が走ったかもしれませんね。虫唾が走るとは「胸がむかむかするほど不快である」という意味で、虫唾とは胃から口にでてくるスッパイ液体のことだそうです。食道と胃の境目の括約筋がゆるむと、胃の中のガスや胃液が逆流して、口の中が酸っぱくなったり苦くなったりしますが、そのような状態をさした言葉です。もしかしたら、逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアなど、食道や胃の病気のせいかもしれません。6月から胃カメラによる個別胃がん検診が始まりましたので、虫唾が走る走らないにかかわらず受けてみてください。診療所で行っている誕生月検診(半日ドック)でも、胃透視のかわりに胃カメラを選択することが可能です。オエッという嘔吐反射が少ない、鼻から挿入する経鼻内視鏡も用意しています。

子供が夜鳴きや癇癪(かんしゃく)をおこすことを、疳(かん)の虫が起こるといいますが、疳の虫とは一体どんな虫なのでしょうか?虫が好かない、虫の居所が悪い、腹の虫がおさまらない、虫のしらせや虫の息、さらには浮気の虫。これらの虫は一体どこに住んでいるのでしょう?ご存知の方がおられましたら、朝倉診療所の大坪まで、ご一報ください

令和元年8月 文責:大坪 正明

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メールアドレス : asaryo@city.asakura.lg.jp
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