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市長施政方針(令和3年第1回朝倉市議会定例会)

登録日:2021年03月01日

 

 本日ここに、令和3年第1回朝倉市議会定例会を招集いたしましたところ、皆様方にはご多忙な中にお繰り合わせご出席を賜り、厚くお礼申し上げます。

本議会は、市政運営の基本となる令和3年度の当初予算をはじめ、多くの重要な案件について、ご審議をお願いするものであります。したがいまして、その冒頭で私の令和3年度における市政運営に対する所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。令和3年度は、市長就任4年目の総仕上げとなる重要な年であります。私に寄せられた期待と責任の重さを肝に銘じ、市民に信頼される市政の推進に努めてまいります。

「復興計画」におきましては、被災前の活力を回復し、地域の価値を高める期間、再生期の2年目となります。平成30年10月から指定されておりました長期避難が、昨年4月には一部解除となりましたが、未だ指定が続いております27世帯の解除に向けての取組を進めてまいります。すまいの再建を加速させるとともに、引き続き道路や河川、農地などの復旧計画を具現化し、復旧・復興を実感し、希望をもっていただける年にしたいと考えております。

昨年10月に行われました国勢調査の人口速報集計が今年6月に公表されます。人口推移を分析し、朝倉市人口ビジョンを見据えた実効性ある施策に取り組んでいく必要があります。

第2期朝倉市総合戦略のもと、「関係人口」を創出・拡大し、地域の活性化や将来的な移住者の拡大を図るとともに、結婚・出産・子育ての希望を叶えられるような少子化対策に引き続き力を入れてまいります。

世界の情勢を見てみますと、全世界を震撼させている新型コロナウイルスの感染拡大は未だ収束が見えず、医療機関のひっ迫や経済の低迷など今までに経験したことのない極めて厳しい情勢が続くことが予想されます。また、感染力が増強した変異株のウイルスが各国で確認されており、未知の脅威に対しても気を許せない状況になっております。

国内におきましては、新型コロナウイルス感染症対策などの国の大型補正予算が成立し、全国の自治体が知恵を絞り様々な対策に取り組んでまいりました。まもなく、ワクチン接種もはじまってまいります。また、開催が延期されておりました東京2020オリンピック・パラリンピックにつきましては、7月の開催に向け準備が進められております。9月にはデジタル社会の構築を力強く進めていくためのデジタル庁が発足され、行政サービスの利便性向上に向けたマイナンバーカードの全国民への交付や各自治体の行政システムの統一・標準化の目標が掲げられております。県内では、福岡市が先駆けとして取り組んでおります「地方公共団体における押印見直し」の動きも全国の自治体で加速していくものと思われます。

政府の令和3年度予算案につきましては、2020年度の第3次補正予算と合わせ15か月予算とし、新型コロナウイルス感染拡大防止に万全を期しつつ、デジタル社会・グリーン社会、活力ある地方、少子化対策など全世帯型社会保障制度などにも対応する予算として、3年連続100兆円超えの一般会計総額106兆6,097億円となっております。国の動きを見定めながら、本市の施策に的確に対応させてまいります。

未曾有の被害をもたらした平成29年7月九州北部豪雨災害から3年7か月が経過いたしました。私は、就任当初から「ふるさとを取り戻す」の理念のもと、復旧・復興に全力で取り組んでまいりました。毎年のように発生する豪雨災害は、復旧・復興に大きな影響を与えておりますが、国や県のご支援と他自治体からの応援職員のご協力もあり着実に復旧は進んできております。

また、新型コロナウイルスの感染拡大により私たちの日常生活は一変いたしました。昨年4月に発出された「緊急事態宣言」は5月には解除されたものの、外出自粛の要請、小中学校や高校の一斉休校、飲食店の営業自粛など、社会の混乱と併せて新しい生活様式への移行が急激に進みました。さらに、今年1月14日には2回目の「緊急事態宣言」も発出され、今後もしばらくの間、新型コロナウイルス感染症の脅威は続くことが予想されます。事業者への支援をはじめウィズコロナ・アフターコロナに向けての対応が重要な課題となっております。2月には、市民へのワクチン接種を円滑に進めていくため、新型コロナウイルスワクチン接種対策室を設置いたしました。引き続き市民生活の安全と健康を守り、経済活動を回復させる事業に取り組んでまいります。

昨年は、災害関連事業において職員の不祥事が発覚し、市民の市政に対する信頼を著しく失墜させてしまいました。「不祥事は一部の職員のしたことであり、自分には関係ない」という無関心を決して許すことはできません。職員の行動の変化や変調の兆しを見抜く管理職としての資質を高めるとともに、職員一人ひとりが、それぞれの立場で公務員倫理の高い理念を持ち続けることが肝要であります。私が先頭に立ち全職員一丸となって市政の信頼回復に全力で取り組んでまいります。

現在、本市では、災害の影響により、様々な事業を延期又は中止しております。全ての事業が被災前と同様に実施できるとは限らず、見直しが必要であると考えております。本定例会で新市建設計画変更の議案の上程を予定しておりますが、凍結しております大型事業につきましては、財政状況を勘案し、優先度を検討したうえで、一つひとつ将来に向けた「責任ある決断」をしてまいりたいと考えております。

さて、令和3年度の行政運営は、第2次朝倉市総合計画に基づいて展開してまいります。新型コロナウイルス感染症対策が喫緊の課題であることはもとより、少子高齢化や人口減少といった本市の課題に重点的に取り組んでいくこととしております。

さらに、災害からの復旧・復興と地方創生の推進の2つを全庁横断的な重点分野として取り組んでまいります。併せて、朝倉市復興計画及び今年度策定の朝倉市地域強靱化計画に基づき、災害に強いまちづくりを進めてまいります。

それでは、令和3年度の主な取組を総合計画の9つの基本目標ごとに申し上げます。

まず、一つ目の基本目標、「災害や危機に強く、安全・安心が実感できる暮らしの実現」についてです。

復興計画に基づき、安全なまちづくりを推進していくため、被災地域の方々と意見を交わしながら、地域の再生・発展に引き続き取り組んでまいります。

今年度策定予定の復興実施計画に基づき、旧志波小学校跡地の防災拠点施設や宅地分譲の整備、松末地域定住促進団地の整備、災害復旧事業に合わせた宅地嵩上げ事業などを進めてまいります。未だ住宅再建の方針が決まっていない世帯に対する生活支援として、引き続き地域支え合いセンターを運営し、被災した住民同士の交流活動への支援を行ってまいります。また、国の新たな制度を活用し、平成29年以降の被災地域における被害を防ぐため、宅地嵩上げなど浸水対策費用への補助を行ってまいります。

次に、二つ目の基本目標、「人がつながり、支えあう活力ある地域社会の創造」についてです。

市内の17地域コミュニティの活動を円滑に進めるため、引き続き活動経費の助成や各コミュニティセンター施設の営繕などを行ってまいります。

「朝倉市部落差別をはじめあらゆる差別の解消を推進し人権を擁護する条例」に基づき、全ての人の人権が尊重されるまちづくりの実現に向けて、教育と啓発を推進してまいります。あらゆる分野において、性別に関わりなく個性や能力を発揮する機会を増やしていくため、朝倉市男女共同参画センターによる事業を推進してまいります。男女共同参画社会の実現に向け、令和元年度の実績では2.5パーセントでありました審議会などの女性委員の割合を令和3年度中に35パーセントに引き上げることを目指してまいります。さらに、これまでの取組を検証し、第4次朝倉市男女共同参画推進計画を策定してまいります。

次に、三つ目の基本目標、「誰もが健やかで、いきいきと暮らせる保健福祉の充実」についてです。

市直営の朝倉診療所を中心に、定期的な健診、体力づくり支援、介護予防などのほか、予防医療にも取り組んでまいります。新型コロナウイルス感染症対策につきましては、ワクチン接種をはじめ国や県の様々な施策も活用しながら、市民の感染拡大防止に取り組んでまいります。

また、特定健康診査受診率40パーセントを目指し、2年連続で受診した方の健診自己負担を無料といたします。併せて、職場健診や人間ドックなどを受け、特定健診項目の内容が含まれた健診結果を提出した方には、市の指定ゴミ袋の配布を行ってまいります。市民の健康寿命の延伸を図るため、高齢者のフレイル予防や重症化予防の取組として、健康相談や保健指導を行ってまいります。

次に、四つ目の基本目標、「次代につなぐ良好な環境の保全」についてです。

第2次朝倉市環境基本計画に基づき、市民、民間団体、事業者及び行政が互いに補完しあい、協働しながら、良好な地域環境及び地球環境の創造を目指してまいります。また、森林環境譲与税を活用した水源かん養のための荒廃森林整備や間伐などの整備に取り組んでまいります。

循環型社会の構築を目指し、分別によるごみの適正処理やリサイクル、市民が主体となった環境美化運動を推進することによりごみの減量を進め、併せて、食品残さの再資源化などを推進してまいります。また、水環境のバロメーターでもありますスイゼンジノリの保全につきましては、成育環境の改善を目指してまいります。

次に、五つ目の基本目標、「豊かな地域資源を活かした産業、観光の振興」についてです。

農業は、本市の基幹産業であります。しかしながら、就農者の高齢化や後継者不足により、その基盤が揺らいでおります。それらの課題に真摯に向き合い、農業の振興に努めてまいります。

豪雨災害で被災した農家の営農再開に向けて、区画整理事業による災害復旧を本格的に進めてまいります。併せて、整備区域内の農地の土づくりのための堆肥購入補助を行ってまいります。さらに、被災地域の農地の生産性向上のため土壌分析や土壌改良資材の補助を行ってまいります。また、近年のアライグマをはじめとする小動物による農林産物などへの被害の軽減を図るため、捕獲単価を見直し、処分費用の補助を行うことにより捕獲数を増やす取組を強化してまいります。今年度中に策定いたします第2次朝倉市食料・農業・農村基本計画に基づき、農業の持続可能性を高めるため、スマート農業の導入や多様な農産物の生産などに取り組んでまいります。

中小事業者への支援につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により厳しい状況が続いておりますが、国や県の交付金を活用した事業継続のための支援を行ってまいります。

観光振興につきましては、昨年7月の豪雨災害復旧で遅れておりました小石原川ダム事業の完成にあわせ、コア山を活用したマウンテンバイク施設や小石原川ダム水源地域整備事業による親水公園などの整備を進めてまいります。また、将来的な外国人観光客を含めた観光入込客増加を目指し、地域おこし協力隊によるインバウンド対策やサイクルプロジェクトを進めてまいります。

次に、六つ目の基本目標、「快適で住みよい都市基盤の充実」についてです。

上下水道事業につきましては、今年度策定の中長期的な経営の基本計画である「朝倉市下水道事業経営戦略」による経営状況や将来の見通しを踏まえ、適切な施設の維持管理、適正な収入の確保などの経営基盤の強化に取り組んでまいります。

また、市営住宅につきましては、災害で延期しておりました東中町団地の建替え及び鳩胸団地の建替えを行ってまいります。さらに、移住・定住促進事業といたしまして、要望の多い住宅リフォーム補助を継続するほか、都市部からの移住を促すためのお試し居住体験事業や他市町村からの若い世代や起業家、就業者、新規就農者などの移住に対する支援に取り組んでまいります。

次に、七つ目の基本目標、「笑顔があふれ、将来に夢や希望をもち飛躍できる子どもの育成」についてです。

子育て支援につきましては、子ども医療費支給制度の拡充として、中学生の入院外に係る医療費を支給対象に加え、自己負担額の上限を超える分を支給いたします。さらに、産後に身体的不調や育児不安などがある方に対し子育ての技術的アドバイスを行う前向き子育て応援事業につきましては、育児を楽しくするセミナーなどプログラムメニューを増やし、取組を強化してまいります。

少子化対策につきましては、独身男女の登録やマッチング、出会いの場づくりをさらに推進していくため、NPO法人出会いサポートセンターJUNOALL(ジュノール)と協定の締結を進めてまいります。また、婚姻に伴う住宅取得費、家賃、引越費用への補助を行い、新婚世帯の新生活支援を行ってまいります。

教育分野につきましては、子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと、協働的な学びを実現するために進められてきましたGIGAスクール構想により、市内の小中学校の児童生徒全員に1人1台のタブレット端末の整備を令和2年度中に完了し、ICTを活用した教育に一層取り組んでまいります。

次に、八つ目の基本目標、「生涯にわたる学び、活動の推進」についてです。

秋月の歴史を発信する秋月博物館の環境整備として進めてまいりました地域情報棟の運用を始めてまいります。歴史の継承と文化の振興を題材とした様々なイベントを開催することで、秋月地域への集客に繋げてまいります。

昨年9月に本市とフレンドリータウン協定を締結いたしましたアビスパ福岡は、その後、順調に勝利を重ね、5年ぶりのJ1昇格を決められました。協定に基づき、プロのサッカー選手と触れ合う機会を通じて、スポーツの楽しさ、夢を持つことの大切さを学ぶことで、子どもの健やかな成長につなげていきたいと考えております。今年8月には百人一首全国中学生大会が本市で開催されます。また、5月には延期されておりました東京2020オリンピック・パラリンピックの聖火ランナーが被災地を走ることになっております。この機会にメディアを通して、これまで本市に支援をしていただいた方々に対する感謝の気持ちと復旧・復興を全国に発信したいと考えております。

次に、九つ目の基本目標、「透明性・効率性の高い持続可能な行財政運営」についてです。

市民の皆様に暮らしやすさを十分に伝えられるような広報広聴活動に取り組んでまいります。納税などの利便性向上のため、キャッシュレスやコンビニ納付の準備を進めてまいります。また、会議のペーパーレス化に向けて、タブレット端末を活用した議会運営のオンライン化を進めてまいります。ふるさと納税につきましては、返礼品の品揃えやウェブサイトの拡充といった地道な努力を重ね、制度本来の趣旨に基づく取組の中で順調な伸びを示すことができました。引き続き貴重な財源確保の一助になるよう積極的な取組を進めていき、目標額を16億円といたします。

山積する行政課題をクリアしていくために、人材は、何ものにも代えがたい財産であります。行政評価、人事評価などを通じて、職員の資質、やる気及び危機対応能力を向上させるとともに、他自治体との人事交流や専門人材の受け入れを拡充いたします。また、災害対応による健康面への影響を配慮した職場環境の向上や働き方改革の実践にも、引き続き取り組んでまいります。

災害からの復旧・復興と地方創生に同時に取り組むには、多くの財源と人員並びに一定の時間を必要とします。財源につきましては、想定外の一般財源が必要になることも考えられます。通常の行政運営に必要な財源をしっかり確保することに加えて、特別交付税の措置が最重要となってまいります。私自身の経験や人脈を生かして要望活動を行うなど、引き続き果敢に取り組む覚悟であります。

人員確保につきましては、引き続き全国の自治体からの派遣職員をお願いするほか、技術職員の前倒し採用や任期付職員の採用を行ってまいります。また、復旧・復興を確実に進めていくために技術職員の効果的配置を行ってまいります。以上、令和3年度の施政方針について申し上げました。

冒頭に申しましたように、令和3年度は市長就任4年目の重要な年になります。市民の皆様が、元気と笑顔があふれ再び輝く日を取り戻すことができるように、誠心誠意、全力で山積する課題に挑戦し、市民の皆様、そしてその代表である市議会議員の皆様、市役所とともに一丸となって、ふるさと朝倉市の未来を切り開いていく決意であります。議員各位には、重ねてご理解とご協力をお願い申し上げ、私の施政方針といたします。

 

 

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