今月の話は、胸焼けについてです。
胸焼けの不快な症状として、「酸っぱいものや、ゲップがこみあげてくる」「食べ物がつかえる感じがする」「声がかすれる」「胸のあたりが熱い、ヒリヒリする、痛い」「睡眠中に急に咳が出る」などの症状があります。これらの症状は、胃液・胃酸が食道に逆流することが原因で起こり、逆流性食道炎と診断されます。
高齢者、肥満の人、暴飲暴食の後、亀背の人(背骨が後ろへ曲がって突き出している状態)によく見られますが、原因としては、
(1)食道と胃の境めの筋肉が緩み、胃酸が食道へ逆流しやすくなる。
(2)食道の食べ物を胃へ運ぶ運動が悪くなり、食道に逆流した胃液を胃へ押し戻すことができない。
(3)胃の中の圧力が高くなって、上向きの力が強くなり、胃液が押し上げられる、などの要因で生じます。
逆流性食道炎を正確に診断するためには、上部内視鏡検査(胃カメラ)による観察が不可欠ですが、自覚症状と治療薬の効果を見て、診断することも可能です。治療薬としては、胃酸の分泌を抑制する薬、食道の運動機能を改善する薬、食道の粘膜を保護する薬、胃酸を中和する薬などを使用します。
「酸っぱいものや、ゲップがこみあげてくる」「食べ物がつかえる感じがする」「声がかすれる」「胸のあたりが熱い、ヒリヒリする、痛い」「睡眠中に急に咳が出る」など、このような症状に思いあたれば、主治医の先生に相談されてください。
胸焼けを起こさないためのポイントは、食事、姿勢、おなかの圧迫です。
(1)食事は一度にたくさん食べずに、ゆっくりとよく噛むこと。腹八分まででやめること。タバコ、お酒、コーヒー、チョコレート、カレーライスなどの香辛料の多い食べ物、脂肪の多い食べ物、柑橘類などの摂取を控えること。唾液は胃酸を中和するので、食後にチューインガムを噛んで、唾液をよく出すことは良いことです。
(2)姿勢に関してですが、前かがみの姿勢を避けましょう。食事の後はすぐに横にならないようにしましょう。就寝時にはベッドの上半身を上げましょう。また、就寝時はなるべく左側を下にしてください。
(3)お腹の圧迫の注意ですが、ベルトおよびガードル、コルセットなどは緩めにして下さい。太っている人は体重を減らしてください。
最後になりましたが、まだまだ、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザが流行っていますので、皆さんも感染予防をされ、ワクチン接種を早くすまされることをお勧めします。
朝倉診療所 石井邦英