1.給与所得控除の見直し(上限額の引下げ)
平成26年度税制改正で、給与所得控除の見直しがされ、給与所得控除の上限が引き下げられることとなりました。
平成29年度 | 平成30年度 | |
上限額が適用される給与収入 | 1,200万円 | 1,000万円 |
給与所得控除の上限額 | 230万円 | 220万円 |
2.住宅ローン控除の延長
消費税率10%への引き上げ時期の変更に伴い、住宅ローン控除の適用期間が平成26年4月~31年6月末から、平成26年4月~33年12月末までに延長されます。
3.セルフメディケーション推進のための「スイッチOTC薬控除」(医療費控除の特例)の創設
平成28年度税制改正で、適切な健康管理の下で医療用薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている個人が、平成29年1月1日から本人や本人と生計を一にする親族に係る「スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)」の購入費用を1年間に1万2千円を超えて支払った場合には、1万2千円を超える額(控除限度額8万8千円)を所得控除できる特例が創設されました。(従来の医療費控除との選択適用となります。)
(参考)
・厚生労働省ホームページ:セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について(外部リンク)
■適用期間
平成29年1月1日から平成33年12月31日までの5年間
(平成29年分の所得税、平成30年度の個人住民税から5年間適用)
この特例を受けるには、所得税の確定申告または、個人住民税の申告が必要です。(所得税の確定申告をされた方は、個人住民税の申告は不要です。)
■適用要件とされる健康の維持増進及び疾病の予防への取組(一定の取組)
次の(1)から(5)のいずれか1つに該当する検診等又は予防接種(医師の関与があるものに限る)を受けていることを要件とされます。
(1) 特定健康診査(いわゆるメタボ健診)
(2) 予防接種
(3) 定期健康診断(事業主健診)
(4) 健康診査(いわゆる人間ドック等で、医療保険者が行うもの)
(5) がん検診
■申告の際に必要なもの
(1) 「一定の取組」を行ったことを明らかにする書類
例えば、インフルエンザ予防接種の領収書や会社で受けた定期健康診断の結果通知表などです。
(2) セルフメディケーション税制の明細書又はスイッチOTC医薬品を購入したレシートや領収書等
レシートや領収書等には、医薬品名、金額、当該医薬品がセルフメディケーション税制対象品である旨 、販売店名、購入日の明記が必要です。
【注意】
1.平成29年1月1日以降に購入するスイッチOTC医薬品が対象となります。
2.検診等又は予防接種に要した費用は、スイッチOTC薬控除の対象にはなりません。
※「スイッチOTC薬」とは
医師の処方が必要だった医療用医薬品から転用(スイッチ)された、薬局のカウンター越し(Over The Counter)に購入できる市販の医薬品です。かぜ薬、胃腸薬、鼻炎薬、解熱鎮痛剤、コレステロール改善薬などの対象品目が厚生労働省のホームページに掲載されています。
控除額の比較 |
||
従来の医療費控除 | スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例) | |
控除額 | (その年に支払った医療費の総額-保険金等で補填される金額)-(10万円又は総所得金額等の合計額の5%のいずれか少ない額) | (その年に支払ったスイッチOTC薬の総額-保険金等で補填される金額)-1万2千円 |
控除限度額 | 200万円 | 8万8千円 |
4.医療費控除・医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の申告時における「明細書」の添付義務化
平成29年度税制改正で、医療費控除・医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)のいずれか適用を受ける方は、領収書の提出の代わりに「医療費控除の明細書」、「セルフメディケーション税制の明細書」を申告書提出の際に添付しなければならないこととされました。
(参考)
・国税庁ホームページ:確定申告の医療費の明細書添付義務化のお知らせ(外部リンク)
■適用時期
所得税は平成29年分の確定申告、個人住民税は平成30年度の住民税申告から適用
■経過措置
平成29年分から平成31年分までの所得税の確定申告、平成30年度から平成32年度までの個人住民税の申告については、医療費等の領収書の添付または提示によることができます。
※所得税の確定申告をされた方は、個人住民税の申告は不要です。
■適用を受ける場合に添付が必要な書類関係
(1)医療費控除
・医療費控除の明細書
・医療費通知【原本】(注)
(注)医療費通知とは、健康保険組合等が発行する「医療費のおしらせ」などです。「医療費控除の明細書」の1.医療費通知に関する事項を記入した場合、交付を受けた医療費通知【原本】を添付すると医療費の明細を記入省略できます。
(2)セルフメディケーション税制
・セルフメディケーション税制の明細書
・一定の取組を行ったことを明らかにする書類(提示でも可)
■「一定の取組を行ったことを明らかにする書類」の具体例
・インフルエンザの予防接種又は定期予防接種(高齢者の肺炎球菌感染症等)の領収書又は予防接種済証
・市区町村のがん検診の領収書又は結果通知表
・職場で受けた定期健康診断の結果通知表(「定期健康診断」という名称又は「勤務先(会社等)名称」が記載されている必要があります。)
・特定健康検査の領収書又は結果通知表(「特定健康検査」という名称又は「保険者名(ご加入の健保組合の名称)」が記載されている必要があります。)
・人間ドックやがん検診をはじめとする各種健診(検診)の領収書又は結果通知表(「勤務先(会社等)名称」、「保険者名(ご加入の健保組合の名称)」が記載されている必要があります。)
■領収書の保存期間等
明細書の記入内容の確認のため、医療費等の領収書は確定申告期限等から5年間保存する必要があります。
税務署長(住民税申告においては市区町村長)から当該明細書に係る医療費等の領収書の提示又は提出を求められた場合には、その適用を受ける方は、当該領収書の提示又は提出しなければならないこととされました。
■明細書の様式
国税庁ホームページからダウンロードできます。個人住民税の申告にも準用してください。
国税庁ホームページ(外部リンク)
・医療費控除の明細書
・セルフメディケーション税制の明細書