その咳、長引いていませんか?
百日せきは、細菌によって引き起こされる呼吸器の感染症で、特に乳幼児では重症化することがあります。最近はワクチン接種が進んだ一方で、ワクチンの効果が薄れた10代以上で感染が広がり、家庭内で赤ちゃんにうつるケースも増えています。
2025年は、過去最多の報告数となっており、福岡県を含む全国各地で急速に広がっています。症状が軽いため見逃されやすく、気づかないうちに周りに感染を広げてしまうこともあります。
百日せきは、予防接種・早期受診・日常の対策で防げる病気です。症状や感染経路、対策を知って百日せきを予防しましょう!
百日せきってどんな病気?
百日せきは、「百日咳菌」や「ボルデテラ・パータスシス」といった細菌が原因で起こる呼吸器の感染症です。
名前のとおり、数週間~数カ月の間咳が長く続くのが特徴で、「100日間咳が続く」と言われるほどです。
症状
百日せきは、進行段階によって症状が変化します。
◇初期:カタル期(1~2週間)
・鼻水、軽い咳、微熱等の軽い風邪症状
・この時期は特に見逃されやすく、他人に感染させやすい時期です。
◇中期:痙咳期(2~4週間)
・連続して息が出来ないほどの激しい咳が発作的に出る
・咳の後息を吸う際に「ヒューッ」という吸気音(笛声音)が出るのが特徴です。
・特に夜間に悪化し、時には激しい咳により嘔吐を引き起こすこともあります。
◇回復期
・咳の回数は減って行くが、だらだらと咳だけが長く残ることがあります。
感染経路と感染期間
主に、咳やくしゃみの飛沫感染で広がります。また、菌が付着した手で目や口、鼻などの粘膜に触れることで感染する接触感染により広がることもあります。
また、百日せきは感染力が高く、特有の咳が完全に消失するまでは感染の可能性がありますが、特に咳が激しくなる発症後2~3週間は最も感染力が強いとされています。ただし、抗菌薬治療を開始してから5日間が経過すると感染力は大きく低下します。
対策
◇咳が続いたら早めに受診
・咳が2週間以上続く場合には百日せきの可能性があります。特に咳が発作的、夜間に悪化するなどの特徴があれば要注意です。
・早期に受診し、適切な診断と抗菌薬による治療を受けることで重症化や周囲への感染拡大を防ぐことができます。
◇咳が出るときはマスクを着用しましょう
・咳が出る人は必ずマスクを着用し、口をハンカチや袖で覆うといった咳エチケットを守りましょう。
・特に乳幼児や妊婦、高齢者の近くでは細心の注意を。
◇定期予防接種の確認・接種
・生後2か月から始まる五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)を接種しましょう。
・追加接種(12~18か月)も忘れずに完了しているかを母子手帳で確認しましょう。
・保護者や兄姉、祖父母が追加接種の対象外でも「咳が長く続けば受診」する意識が大切です。
・百日せきワクチン(DPT-IPV/五種混合)の効果は数年で徐々に弱くなるため、小学校高学年以降で感染・発病する可能性があります。
◇手洗い・うがいの徹底
・百日せきは飛沫感染が主ですが、手について菌が口に入ることもあるため、こまめな手洗いが有効です。
◇乳児への感染防止
・百日せきは特に6か月までの赤ちゃんにとって重い症状を引き起こすことがあります。まだ、予防接種が完了していない時期の赤ちゃんを守るためにも、一緒に暮らす家族が気を付けることが大切です。
・赤ちゃんと接する家族に風邪症状がある場合には、こまめな部屋の換気やマスクの着用を心掛け、他の家族にお世話をお願いできるのであれば接触を控えることも有効です。